テキスト全文
#1. 総合診療・整形外科医のための
脊椎関節炎(SpA)の
病態理解 ご監修:秋山 光浩 先生
(慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科) 2025年11月作成
#2. Raychaudhuri SP, et al.: J Autoimmun. 48-49:128-133(2014).より作図 体軸性脊椎関節炎 末梢性脊椎関節炎
IBDに伴う
脊椎関節炎 反応性関節炎 分類不能型
末梢性脊椎関節炎 強直性脊椎炎
(AS) 乾癬性関節炎 X線基準を満たさない
体軸性脊椎関節炎
(nr-axSpA) 脊椎関節炎 (SpA) に含まれる疾患と分類 体軸関節の症状が優位 末梢関節の症状が優位
#3. SpAにおける診断の遅れ
“Diagnostic delay” Best Pract Res Clin Rheumatol 2023;37:101870. 世界中でSpAの診断には5~10年程度の遅れが生じている
#4. ”診断の遅れ”は
SpAの予後に影響しうる 最近のシステマティックレビューでは、
SpAの診断の遅れが以下と有意に関連していることが示された
高疾患活動性
身体機能の低下
画像上の構造的破壊
不安や抑うつの悪化
QOLの低下 Rheumatol Ther 2020;7:65-87. 治療難治化(Difficult to treat)の原因となりうる可能性
#5. ”診断の遅れ”は
関節破壊にも影響する *p<0.05; **p<0.01; ***p<0.001
単変量解析 PsAの診断が6ヵ月以上遅れた場合、6ヵ月以内に診断した場合に比べ、骨びらんや破壊性関節炎のリスクが高まる。 Haroon M, et al.: Ann Rheum Dis. 2015;74:1045-1050より作図 オッズ比(95%CI)
#6. Difficult-to-treat PsA (D2T PsA) Semin Arthritis Rheum 2023;63:152275. フランスのretrospective studyでは33%がD2T PsA1となり、
11%がVery D2T PsA2という結果が示された 11% 33% 1:D2T PsA:作用機序の異なる2種類以上のb/tsDMARDsの治療歴
2:Very D2T PsA:2年以内に作用機序の異なる2種類以上のb/tsDMARDsの治療歴
#7. 診断時に関節破壊(体軸または末梢)がある場合はD2T PsAのリスク因子となりうる Semin Arthritis Rheum 2023; 63: 152275.
#8. Difficult-to-Treat axSpA
(D2T axSpA) Joint Bone Spine. 2024;91:105670. 4% 28% 1:D2T axSpA:作用機序の異なる2種類以上のb/tsDMARDsの治療歴
2:Very D2T axSpA:2年以内に作用機序の異なる2種類以上のb/tsDMARDsの治療歴 フランスのretrospective studyでは28%がD2T axSpA1となり、4%がVery D2T axSpA2という結果が示された
#9. ”診断の遅れ”は
D2T axSpAのリスク因子となりうる Joint Bone Spine. 2024;91:105670.
#10. ”診断の遅れ”による抑うつは
D2T axSpAのリスク因子となりうる RMD Open. 2023;9:e003461.
#11. 2023年に
早期axSpAの定義が提唱された Ann Rheum Dis. 2024;83:1093-1099
#12. SpAの早期診断と治療の推奨 Ann Rheum Dis 2023;82:19-34
Ann Rheum Dis 2024;83:706-19 国際的な提言では、PsAやaxSpAに対して、早期の専門医紹介と治療開始が最も重要な基本方針とされている
#13. SpAの”診断の遅れ”の要因 患者および医師の間で疾患に対する認知度が低い(腰痛や関節痛と皮膚病変が関連していると想起できていない etc)
一般人口において機械的腰痛がよくみられる
若年発症であること
症状が徐々に進行するため気づかれにくい
診断に特異的なバイオマーカーが存在しない Arthritis Care Res (Hoboken) 2024;76:541-9.
Nat Rev Rheumatol 2012;8:262–8.
#14. PsA/ASにおける
筋骨格外症状の合併頻度 Rheumatology (Oxford). 2024;63:430-435. 多くの筋骨格外症状を伴うことから、眼科・消化器内科・皮膚科・整形外科・リウマチ内科の科連携が重要
#15. GRAPPA1が提唱する最小疾患活動性
(minimal disease activity; MDA) 1:Group for Research and Assessment of. Psoriasis and Psoriatic Arthritis Coates LC, et al.:Nat Rev Rheumatol. 18(8): 465-479, 2022
#16. PsAにおけるT2Tが関節予後を改善 早期PsA:発症2年以内 MDAを達成しているかどうかを指標に4週ごとのタイトコントロール
48週時のアウトカムを比較 Lancet 2015;386:2489-98
#17. MDA達成が関節破壊を抑制 Schneeberger EE, et al. Semin Arthritis Rheum. 2023;58:152134.
#18. まとめ SpAでは早期診断とT2Tに基づく早期治療が予後改善に重要
診断の遅れ(平均5–10年)は、関節破壊・QOL低下・D2T SpAリスク上昇に関連
多職種連携(皮膚科・眼科・消化器内科・整形外科)が鍵となる
早期治療介入により関節予後・疾患コントロールが改善