#4.
・心不全で臨時入院してきた80歳代男性
・ラシックス(ループ利尿薬)静注で治療開始
・元々呼吸状態は悪くはない
・2日後の採血でAST、ALT 3桁の肝障害が悪化 こんな症例よくありますよね 心不全入院中によくある一例
#5.
一般的な肝障害の原因 ・ウイルス性(A,B,C,E型肝炎など)
・アルコール性(脂肪肝含む)
・NAFLD(非アルコール性脂肪肝)
・薬物性(全ての薬剤で起こりうる)
・自己免疫性(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎) アルコール+薬物歴+採血しないとわからない 症状は出にくい
(せいぜい黄疸、倦怠感) +劇症肝炎 PT時間40%以下
±肝性脳症 必要あれば肝生検
#6.
肝障害の分類 ・肝細胞型
AST、ALT(GOT、GPT)などが上昇
ウイルス性肝炎、薬剤性など
・胆道系型
ALP、γ-GTP、(直接)ビリルビンが上昇
アルコール性肝障害、うっ血肝、原発性胆汁性胆管炎など 肝酵素上昇していたら肝障害はある 肝酵素陰性でも
肝硬変は否定できず
#7.
・薬剤性(利尿薬、抗血栓薬、β阻害薬)
・いっ水(うっ血肝、循環不全)
--------------------------------------------
・アルコール性(アルコール性心筋症、塩分過多での心不全)
・自己免疫性>ウイルス性(原発性胆汁性胆管炎など?) 心不全治療に伴うものか、心不全悪化に伴うものか、別件か、それが重要 医原性 元々だ IVCがパンパン 💦 循環器患者で多い肝障害の原因 = 併発多数!
#8.
肝機能悪化時の実際の流れ ①うっ血肝か(入院後乏尿、IVC腫大) →大至急利尿(急変徴候)
②肝障害パターン(肝細胞or胆道系) →鑑別に必要
③劇症肝炎?(肝性脳症、PT低値) →直ちに消化器医+血漿交換
④新規薬剤は?(既存薬剤も) →可能であれば中止(変更) ①-④で改善
①-④で改善なしor悪化傾向 アルコール性も
改善するはず 長期Af心不全パターンはわかりにくい 抗凝固薬注意 少し経過観察 炎症と肝臓採血(CRP、赤沈、フェリチン)
(A-E肝炎ウイルス抗体、抗核抗体、抗平滑筋抗体、抗ミトコンドリア抗体)
可能な範疇で薬剤減量 肝生検適応含めて消化器医に相談(心精査や心加療にも影響) 心不全に隠れた原発性胆汁性胆管炎に注意
#9.
原発性胆汁性胆管炎(PBC) ・中年女性に好発する慢性進行性の胆汁うっ滞性肝疾患
・病理組織学的に慢性非化膿性破壊性胆管炎
・疫学的には本邦の有病率は人口10万に33人
・抗ミトコンドリア抗体は感度 90%、特異度95%
抗ミトコンドリアM2抗体は特異度 ほぼ100% Hepatobiliary Pancreat Dis Int. 2003 May; 2 (2) : 290-4 胆道系酵素上昇+抗体陽性でほぼ確定診断
#10.
拡張型心筋症(DCM)と原発性胆汁性胆管炎(PBC) ・本邦では3例のDCMとPBCの合併の報告あり
DCMとPBC関連が予想
→関連因子は不明だが自己抗体の関与が示唆
↓
PBCを合併したDCMに対して免疫抑制剤治療の可能性
(報告では自己免疫性原疾患は奏功したが心病変は進行)
DCMとPBCの全身管理…βblocker, ACE-I/ARB + ウルソ
(DCMとPBCの進行時期の一致の報告あり) 原発性胆汁性肝硬変、多発性筋炎に心不全を併発し、血清中に抗annexin A6自己抗体を認めた拡張型心筋症の1例(久保田奈実ら) 拡張型心筋症を合併した原発性胆汁性肝硬変の一例(芝祐信ら) OKT4抗原欠損症と拡張型心筋症(DCM)を合併した原発性胆汁性肝硬変(PBC)の一例(迎慎二ら) ウルソが心筋症にも効きそう 自分だけで4-5人診断してます
#11.
忘れてはいけない減薬こと ・新規薬剤は一旦中止
(既存薬剤も否定はできず。循環器必須薬は病態みて相談)
・肝排泄の薬剤は減量が必要
(特に抗凝固薬のNOACは肝硬変には相対禁忌)
いつも以上に投薬をシンプルにする
#12.
まとめ ・心不全患者は特に肝障害を経験する!
・おかしいなと思ったら薬剤中止・変更!
・同時にアルコールなどの問診と採血での精密検査!
・もっと怪しければ消化器内科に相談(劇症肝炎注意)
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